リンダさんの講演会報告

10月26日(日)、千葉県立安房博物館にて行われたリンダ・ヤマネさんの講演会についての報告です。

これは、安房博物館とモントレー海事歴史博物館の交流事業の一環として、当館の国際交流等委員をはじめとする多くの方々がボランティアとして協力、開催されたものです。
モントレーからは、モントレー海事歴史博物館のティム・トーマスさんが、友人で歴史家/先住民研究家のリンダ・ヤマネさんとともに来館しました。

当日は多くの聴衆でにぎわい、日本ではなかなか聞く機会がないであろう、先住民の末裔、リンダさんの貴重な話に耳をかたむけました。講演のタイトルは「カリフォルニア・モントレーの先住民」。
俗にインディアンとも呼ばれるアメリカ先住民。頭に羽飾りを付け、馬に乗って荒野を駆け回ると言ったイメージをお持ちのかたもあるかと思いますが、それは西部劇の見過ぎ?カリフォルニア沿岸には、狩猟、採集とともに漁業も営んで、日本の縄文時代に近い温厚な暮らしをしていた先住民の部族が数多くあったのだそうです。
リンダさんの部族「ラムセン族」もそのうちの一つ。今回は特に、ラムセン族の生活にも重要な位置を占めたアワビの話もしていただきました。アワビは食料としてだけではなく、首飾りなどの装飾品や地面を掘るための道具などにも使われ、生活の中で重要な役割があったとのことです。
個人的に印象的だったのは、そのアワビのネックレスの音色です。リンダさんが、ラムセン族に伝わるという歌を何曲かうたってくれたのですが、その声とともに、時折手で胸を軽く打ってアワビの首飾りを鳴らしていました。その素朴な、しかし崇高な響きに、多くのみなさんが聞き入っていました。

「わたしの友人であるティムが、南房総に来るようになってから、南房総のアワビの殻を私におみやげとして持ってきてくれました。今日胸につけているネックレスのアワビのいくつかは、そうやって南房総から私のもとにきたものです」
そう言うと、会場から拍手がわきあがりました。
南房総とモントレーの交流は、これからも続いて行くのだなあと思いました。

e0093807_10512915.jpg
講演の合間にアワビの殻をつかったゲームを紹介してくれました。(安房博物館高梨学芸員撮影)