海女さんカリフォルニアに行く(2)

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〜3〜 モントレー デモンストレーションダイビング編

今日は、朝からデモンストレーションダイビング。
日本の海女さんが100年前のアワビ漁を再現するとあって、
海辺には報道陣を含め、100人近い人々が集まってきています。

いよいよ海女さんたちが登場、みんな固唾をのんで見守っています。
そんな中、いよいよ海に入っていき、開口一番

「うおぉぉぉぉ、はっけぇーーーー!!!」

そこでカメラを構えているアメリカ人達に「何を言っているのか?」と
一斉に尋ねられ

「冷たいと言っています」

「おお、やはり、カリフォルニアの海流は寒流ですから、
 緯度は同じでも、日本とは水温が異なるのですね」
みんな一様に納得したような顔。

そういうことでいいのか???

保護区になっていて漁が禁止されているため、
海女さんたちは、あらかじめ用意したフェイクのアワビを捕り
その様子を資料映像としてカメラに収めます。
無事アワビをゲットすると、岸から大きな拍手が。

あがると必ず火を焚くので、そこまで再現したかったのですが
たき火も禁止ということで、キャンピングカーを用意。
そこで温かいシャワーを浴びることに。
「お〜広い、ここで暮らしたいねぇ」と海女さん大喜び。

写真はこのデモンストレーションダイビングの様子を報じる地元紙です。
他にも数紙が取り上げており、海女さんは一躍有名人に!

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〜4〜 モントレー アフターダイビング編

無事デモンストレーション・ダイビングを終えた海女さん達。
キャンピングカーで着替え終わって出てくると
すっかりピクニックランチの支度が出来ていました。

「まぁったくこんなに大騒ぎしてアメリカまで来て、
 何にも捕れないんじゃ申し訳ないねぇ」

ポイントロボスの海には、ラッコが食べてしまったのか、
アワビはまったくいなかったのです。
今回のダイビングは資料映像を残すことが目的だし、
そもそも保護区になっているところなので
アワビを捕れなくても全く問題がないわけですが、
ひとたび海に入れば、獲物を必ず持ち帰りたい海女さん達。

「まったくホントに申し訳ないねぇ。
 こうなったら、ここで裸になって
 白浜音頭でもおどろうかねぇ」

いいから〜!!そんなことしなくて!
とにかく裸にはならなくていいから〜!!
どうしてそういう発想になるのー???

さて、ランチを終えるとカーメルでショッピングです。
カーメルは風光明媚な土地で、クルセイダーズのピアニスト
ジョー・サンプルも、この地を謳った
「カーメル」という美しい楽曲を残しています。

フィラデルフィア出身、大学で海女の研究をしている人類学者の
ベサニーさんも一緒に買い物することに。

「おぉベサニー、久しぶりだぁね〜!」

「オー、カワサ〜キー!!
 下のサン〜ター!!」

!?

90年代半ば、白浜に住み、研究を続けていた学者の彼女。
海女さんたちを呼ぶときは、なぜか屋号〜!?

かくしてカリフォルニアの空の下、カーメルの高級ショッピング街で
白浜町川下の屋号が飛び交うことに!!

「シンミチサン、ゲンキ?」
「あそぅのばぁさんは入院したっけよ」
「オーノー!ダイジョブデスカー?」
「はぁいいっぺよ、いっときおいねぇったけんが、退院したぁから。」
「だぁけんがやせたぁな」

といった会話が、素敵な高級カフェで延々続きます。

その日の夕食はレストランでツアーの皆さんといただきました。
その後、ホームステイ先に帰ると、そこにはたくさんの人が・・・

「オー!アマ・ダイバー!!」

最盛期のアワビ漁を100年ぶりに再現した海女さんたちを
一目見ようと、たくさんの人々が集まってきていたのです。

中にはサインをもらおうする人も。

「恵子ちゃん、おらぁよこたに書う文字はおいねぇよ。
 代わりに書いてくらっしぇぇよ」
「そんなことやったら意味ないよー。漢字でいいからさー」

サインをしたり写真を撮ったり、質問を受けたり、大忙しです。
しかしちっとも疲れた様子を見せない海女さんたちに脱帽!
次の日はいよいよ、シンポジウムです。

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ベサニーと再会。
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報道陣やギャラリーが集まる。
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いよいよ潜る。

海女さんカリフォルニアに行く(1)

2006年モントレーツアーで、海女さんに同行した山口恵子さんの寄稿です。抱腹絶倒の珍道中、お楽しみください!数回にわけて掲載して行きます。

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海女さんカリフォルニアに行く

これは、2006年にカリフォルニアで開催された
コンバージェンス2006に参加し、デモンストレーションダイビングを行うために
太平洋を渡った白浜の海女さんたちの
房州弁の通訳として付き添った山口恵子が
2人の5日間の素顔を綴ったドキュメンタリーです。

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〜1〜   南房総編

2006年2月14日、白浜の姉妹海女、吉田恵美子さんと、宮本玲子さんのところに
一人の来客が、2人の通訳を伴って訪れました。
アメリカのカブリオ大学教授で、歴史学者のサンディ・ライドン氏でした。

彼には夢がありました。
1年前に海女小屋で出会った南房総の海女さんたち。
モントレーで4月に行われる国際シンポジウム「アワビコネクション」のときに
100年前のカリフォルニアで行われていた伝統的な素潜り漁を
日本人の現役の海女で再現しようというのです。

白浜の宮本さん宅のお茶の間で
お茶を飲んで,しばらくしたあと、彼が口を開きました。

「お二人を、ぜひ、アメリカにご招待したい。
今年行われる、アワビの国際シンポジウムにゲストとして出席し、
モントレーの海で潜ってほしいのです」

「!?」

「だー恵子ちゃん、アメリカだーなんておっそろしい、おらぁおいねぇよ」
「あんが、おっだらでお役に立てるんだら、お世話になって連れていってもらう
べぇかよ」
「おらぁ飛行機あんかておいねぇよ」
「おっだらでいいんかよ」

「もちろん!!」

「でー、行こうかよ」
「ほんとかよ」

というわけで、2人の白浜の海女さんは、なんと太平洋を渡って
カリフォルニアの海で潜ることになってしまいました。

働き者の海女さんたちは、ほとんど白浜を出たことがなく
宮本さんは海外旅行も初めてです。
一体どうなるのでしょうか?

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〜2〜  サンフランシスコ編

当日・・・。

「恵子ちゃん、お世話になるよー」
「あんただけが頼りだよ、よろしく頼むよ」

とかなんとか言いながら、バスでも飛行機でも、まったくのマイペース。

アメリカ人のスチュワーデスさんにも房州弁で押し通す海女さんたち。
「荷物がずねぇ(大きい)からよ、こうさ入れてくらっしぇよ」
“OK”
「おー、サンキューサンキュー、おらぁ英語はこれしかわかんねぇよ、はっはっ
は」
飛行機の中で響き渡る房州弁に、私は他人のフリ・・・。

さて初日は、サンフランシスコの観光です。
まずはフィッシャーマンズ・ワーフにてランチを取ることになりました。
サワードーという、ちょっと酸っぱい大きなパンに入った
クラムチャウダーが有名です。
バスがフィッシャーマンズワーフに近づき
有名な、大きなカニの看板が見えてくると・・・

「恵子ちゃん〜、こらーおら方でいう、がにんまだぁなー」

・・・がにんま!?そんな言葉、久々に聞いたよ〜!
ちなみに「いそっぴ」よりももっと大きいカニを、白浜の方ではがにんまといい
ます。

その後、「フィッシャーマンズワーフのブッシュマン」に出会いました。
この人は、自分で藪のように木を手に持って隠れており
観光客がやって来ると、わっと脅かす名物男です。
ブッシュマンが海女さんを「わっ」とおどかすと

「うおぉぉ、たまげたぁーー!!!」

そこらじゅうに響き渡る声のでかさに、さらにみんなびっくり。

その日はゴールデンゲート・ブリッジなど有名どころをおさえて
それぞれのホームステイ先へ。
私も海女さんたちと同じ家にステイします。
海女さんたちとホームステイ先との間での話を通訳するためです。
私達は、ジャニスの家にお世話になることになり、
家まで送ってもらうため、ジャニスの車に乗り込みました。

しかし海女さんたちは、すでに車の中から
通訳してもしかたがないような(?)ことを連発。

「だ〜、畑がよ!ただごとひれぇなぁ」
「あそ〜らは、道がずっくんでらぁでよ」

そのたびに「彼女たちは何といってるのか?」と聞かれ
説明すると
「アーティーチョークという野菜を作っているのよ。
 ここは全米の何十パーセントものアーティーチョークを作っているの」
「最近の異常気象で3月はずっと雨だったの。
 道が悪いのはそのためよ」
などと丁寧な応答が返ってきて、こちらが恐縮。

さて、次の日海女さんたちはいよいよカリフォルニアの海で潜ります。
どうなることやら・・・

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↑サンフランシスコの「がにんま」
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↑サワードウのクラムチャウダーをいただく

Timさん来日!ミュージアムトーク

千葉県立安房博物館と姉妹館交流をしているモントレー海事博物館から、ティム・トーマスさんが来日します。
来日にあたり、安房博物館で開催されている企画展「アワビー食と美」をティムさんと学芸員高梨さんに案内していただく「ミュージアムトーク」が、企画展最終日の23日に開催されます。みなさんもお誘い合わせの上ぜひご参加ください。

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安房博物館企画展「アワビー食と美」

久しぶりのアップデイトとなりました。
ただいま、千葉県立安房博物館で「アワビー食と美」という企画展が開催中ですのでお知らせします。
古代から「食」や「工芸品」として利用されたアワビ。地元南房総と、そして海を渡ったアメリカ大陸でのアワビの「食」や「美」を紹介しています。この展示会の開催に際し、安房博物館と交流を続けているモントレー海事博物館のティム・トーマスさん、そしてオーシャンクイーンの三橋祥江さん他が多大なる貢献をしてくださったとのことです。

一歩はいると、ガラスケースの中にはモントレーのアカネアワビと房州のメダカアワビが赤い布の上に展示され、そのまわりにはアワビの中からとれる真珠がちりばめられています。今回の企画展を担当した高梨知子学芸員いわく「モントレーと南房総のアワビがであって、きらきらひかった『真珠』をうみだしている、これが今回のテーマなんです。」なるほど!

「食」という観点からは、日本での調理例の紹介のほか、カリフォルニア州モントレーでアワビの食べ方をアメリカ人に紹介し、アメリカ国内でアワビ販路拡大のきっかけを作り日本のアワビダイバーの救世主となったポップ・アーネストを大々的に紹介しています。まずは、等身大のアーネストのパネルが企画展室入り口でみなさんをお迎えします(アーネストと握手をしているのは企画を担当した高梨知子学芸員です)。

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ガラスケース内には、昨年9月にティム・トーマスさんがかついでもってきてくれた、アーネスト愛用の帽子やエプロンなどモントレー海事博物館所蔵の品が展示されています。
さらには、資料写真をもとに、アーネストのレストランの一角を再現、テーブルの上にはアワビの殻によそわれたクラムチャウダーやうわさのアワビステーキが飾られています!

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モントレーでのアワビ産業の様子や小谷源之助、ポイントロボスについても、写真や年表でわかりやすく紹介しています。ケースの中には源之助の工場で加工していた缶詰のレプリカまで並んでいました。

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また「美」という視点では、「Monterey」という英文と日米の交差した旗が染め抜かれた例の万祝(私たちの交流のシンボルでもあります)が、他の伝統的なアワビの柄の万祝とともに飾られていたり、モントレーの先住民の貝細工が紹介されていたり。南房総のアワビダイバーたちによる貝細工とともに会場を彩っています。
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モントレーと南房総との交流にご興味をお持ちの方にも、とても充実した展示内容となっています。

ズラズラ書いてみましたが、百聞は一見にしかず。ぜひお運びください。
大人300円、高校・大学生150円、中学生以下無料です。3月23日まで開催しており、会期中は無休だそうです。

DVD「海女の話」販売のお知らせ

今年5月、富浦町さざなみホールにてドキュメンタリー映画「海女の話」が上映されました。昨年モントレーで開かれたあわびシンポジウム「コンバージェンス2006」にあわせ、白浜の海女さん2名が現地を訪問、素潜りのデモンストレーションをしました。その模様を、サンディ・ライドン氏らがドキュメンタリーにまとめたものです。美しいモントレー湾ポイントロボスの風景、サンディさんの語りによる歴史的背景説明、このイベントを機に結ばれた太平洋両岸からあつまった家族達のストーリー、そして海女さんたちの素潜りの模様が36分にまとめられています。

モントレーのプロデューサーより複製、配布の許可をいただき、このたび日本語字幕のついたものがDVDになりました。一枚1,000円でご案内していますので、ご希望のかたはオーシャンクイーン溝口(kaori@sabine.jp)までご一報ください。